福島県立医科大学の理念は、個人の尊厳に対する深い配慮と高い倫理性を基に、①県民の保健・医療・福祉に貢献する医療人の教育及び育成、②最新かつ高度な医学および看護学の研究と創造、③全人的・統合的な医療を提供することです。
本学における看護師特定行為研修は、在宅医療から高度急性期医療に及ぶ地域包括ケアシステムの充実を念頭に、チーム医療の中心的な存在となり得る看護師を養成することを目的とします。ひいては本学での研修を通じて、より適切で効率的な医療を福島県内のみならず全国に広く推進したいと考えます。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降には高齢者人口・要介護者数の増加が見込まれるため、高度急性期から在宅医療まで、患者の状態に応じた適切な医療を、効果的かつ効率的に提供する新たな医療提供体制の整備が望まれています。一方、医療の高度化・複雑化が進む中で、質が高く安全な医療を提供するためには、各医療従事者が専門性を発揮しつつ、業務を分担・連携し適切な医療を提供する『チーム医療』の推進が不可欠と考えられます。
このような背景のもとで、2015年秋に厚生労働省は看護師特定行為の研修制度を策定し、2025年までには10万人以上の看護師の育成を目指しています。
本研修は、在宅医療から高度急性期医療の現場において、医療安全に配慮しつつ、高度な臨床能力を発揮できる、チーム医療のキーパーソンである看護師を養成すること、並びに看護師が自己研鑽を継続できる基盤を構築することが目的です。
特定行為研修修了後は、医師または歯科医師の作成した手順書に従い、ある一定の診療補助行為の実践を可能にするものです。
看護師の特定行為研修制度は、国が目指すチーム医療の推進を念頭に、看護師が一定の医行為(特定行為)を実施するために必須の研修として2015年に法制化され、全国の指定研修機関で実施されています。本研修を通して、多職種と連携をとりつつ効果的でタイムリーに患者に医療を提供できる看護師を養成することを目的としています。
福島県の医療における問題点は、人口の高齢化、医療者の不足と地域間格差などが挙げられています。とりわけ医師不足は顕著であり、医師数の増加に向けた積極的な試みが行われ、一定の効果は見られてきています。しかしながら、全国との比較では未だ十分とは言えないのが現状です。さらに、医療の高度化・専門分化が進むにつれて、医師の業務量は増加しており、患者により良い医療を提供するためには、医師・看護師をはじめとする医療者がチームとして医療を提供することが重要であり、医師から他の医療者へのタスク・シフト/シェアの推進も課題の一つとなっています。
福島県立医科大学の看護師特定行為研修センターは、福島県立医科大学・附属病院及び会津医療センターの全面的な支援による教育体制のもと、2017年4月に開設されました。在宅医療から高度急性期医療に及ぶ幅広い医療現場で、チーム医療の中心的な存在として、その専門性を活かし特定行為を実践できる看護師を1人でも多く養成することを目指しています。当センター開設以来、県内の多くの医療機関にご協力をいただき、これまで数多くの看護師が研修を修了し、各医療機関で活動を開始しています。
今後とも、当センターの活動についてご理解いただき、ご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
*実習に必要な症例数や指導者等の条件を満たせば、
受講生の所属施設を協力施設として登録でき、
受講生の負担を軽減することができます。